ユニクロがJ.Crew買収ですと? 

ユニクロがJ.Crewの買収を検討してるらしいです。私は最近J.Crewがかなり気に入ってたので、ちょっと待った!という感じなのです。

 
J.Crewは今日本にリアル店舗を持ってないので、「なんかチノパンにVネックセーターみたいなあのブランド? まあ、ユニクロ系だよね」って思ってる人が多いと思います。違うんです!
 
J.Crewは今前とは大きく変わってて、昔みたいなシンプルでカジュアルな服だけじゃなく、あの手のマスブランドとしてはぐっと上質なものとか、良い意味での遊びのあるものをたくさん作ってるんです。
 
でも価格的には手頃なものからあるので、売れないわけがない感じです。売上は10年前の3倍以上にもなってるらしいです。
 
たとえば彼らがスペシャリテ的に掲げているカシミアのセーター、ふにゃふにゃじゃないちゃんとしたカシミアで、ベーシックなデザインからスウェット風とかボーイフレンドサイズみたいなカジュアルなデザインまでそろっていて、価格は150〜250ドル(1万5000〜2万5000円)程度が中心です。たとえばこんな。
 

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でも中には500ドルを超えるニットとか、コートとか重衣料系では2000ドル(20万円)を超えるものとか、やや高めのデザイナーズブランドにありがちな価格帯の商品もちょこちょこあります。「見せ」用アイテムであるとともに、中の人が着るために作ったのかな?と思うようなニッチなデザインのものもあります。
 

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でも全体的には、元々のシンプルさとかカジュアル感、親しみやすいパーソナリティがきちんと生かされてて、取ってつけたような変身じゃありません

J.Crewをそんな風に変えたのは、クリエイティブディレクター兼社長のジェナ・ライオンズ(写真下)だと言われてます。
 

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彼女は身長180cm以上のスラーっとした体型と独特の着こなしで、まるでスーパーモデルみたいです。ナード風黒縁メガネといろんなベクトルにミックス感あふれるスタイルが定番で、メディアへの露出も頻繁にしているので、J.Crewのアイコンみたいになってます。基本的に全部J.Crewの商品を着てると公言してて、いろんな意味で説得力があります。
 
ブランドを変えるデザイナー、というと、いろんなブランドを渡り歩くイメージがありますが、彼女は新卒でJ.Crewに入社して20年以上勤め続けてるそうです。だからこそ、ブランドの良いキャラクターを受け継いだ形での変革ができたんだろうなーと思います。
 
でもイマイチだった頃のJ.Crewでは、デザイナーとしてフラストレーションを感じることも多かったみたいです。それでも辞めたりしないで機会をうかがって会社を変えたのは本当にえらい! 私自身も前の仕事では「輝きを失ったブランドの再生」ってのをしたくて、でもできなくて…だったし、いろんな会社がそれをやろうとしてできないでいるので、 実際成し遂げた人ってほんとに尊敬します。J.Crew立て直しの詳しいことはこことかこことか、いろんなところで書かれてます。
 
そんな今なぜ身売り?と思っちゃうのですが、むしろ今だから、みたいです。元々J.Crewは上場してたのだけどプライベートなファンドからの資本を入れて非公開化してた経緯があって、そのファンドの人たちが「今のうちにおカネ引き揚げちゃお」って思ってるそうです。
 
そんなわけで身売りの他に、再上場も選択肢だそうな。上場したらしたで、変に拡大しなきゃいけない圧力がかかったり、「一見ムダ」なことを圧縮させられたりして、残念なことになりそうな気が。。
 
ユニクロファーストリテイリング)も、企業としてはえらいと思うんだけど、商品は別に好きじゃないんです…。あ、theoryも今はアメリカ本国含めてユニクロの子会社らしく、でも別にtheoryの商品がユニクロ化してるわけでもないし、そもそも日本企業が買収含めていろいろな手段で拡大するのは大変結構なのですが…。
 
J.Crew、これからどうなっちゃうのか、いつまで今みたいな服作りをしてくれるのか、ちょっと心配です。オンラインでは日本からも買えるので、見てみたい方はこちらへ。でも逆に、ジェナ・ライオンズがユニクロの経営に加わったりしたら…面白いことになるのかも?

「等身大」のレナ・ダナムがVOGUEでPhotoshopされててんやわんやした件

久しぶりにまともな記事更新します!

 

ちょっと前の話ですが、ドラマ『Girls』の作者で主人公も演じているレナ・ダナムが米国VOGUEの2014年最初(2月号)の表紙になったことがちょっと話題になりました。

レナ・ダナムはちょっとぽっちゃり体型でありながら『Girls』ではたびたび(裸が必要なさそうな場面でも)裸になっています。でもその潔さからかいやらしさがなく、ぽっちゃりといってもギリシャの女神像のような美しさもあり(言い過ぎ?)、いわゆる「女優」像に対するアンチテーゼとして、自然な美しさみたいなものを提示したいのかな?と思っていました。『GIRLS』も、ニューヨークのブルックリンを主な舞台にしつつ、「『SEX AND THE CITY』とは違う、等身大の女の子たち」のドラマとされてます。

ちなみに彼女の裸はこれ。(クリックするとモザイクなしの画像が出るので気をつけてください!)


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こんな彼女をあのVOGUEが表紙にしたってことは、ちょっと記念すべきことだったはずです。だってVOGUEは基本的に美の王道(よりももっと前衛ってことになってるかもしれないけど)だし。さらに「自然・不自然」の軸でいえばVOGUEはまさに「不自然」側の人たちで、たとえばレディー・ガガの表紙のときにも修正し過ぎってことがちょっと取り沙汰されたりしてました。

で、VOGUEはレナ・ダナムをナチュラルなまま載せたのかっていうと…そこはやっぱりVOGUEっていうか、雑誌だから当然なのか、写真によっては「これ誰?」みたいなことに…。特に表紙は、私は本当に言われるまでわかりませんでした。

 

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これに噛み付いたのがブログサイトのJezebel。ここはちょっと賢い目のゴシップサイトみたいなところなんだけど、いろんなメディアによる女性の写真修正に激しく反対の立場を取っているみたいです。なんで反対かって、そういう「嘘」の女性像によって、現実の女性が「自分もそうならなきゃ」と思い込んでダイエットしたり、自己嫌悪に陥ったりするから…って理屈らしいです。こういうのはアメリカっぽいフェミニズムですね~。

で、Jezebelが何をしたかって、サイト上で「1万ドル(≒100万円)あげるから、VOGUEの修正前の写真データ持ってる人、送って!」って呼びかけたんです。そしてすぐさまVOGUEの中の誰かがそれに応じてしまって、どの写真のどこがどう修正されたか赤裸々になってしまいました(全画像がここに)。

ただJezebelにとって(多分)誤算だったのは、当のレナ・ダナムがJezebelに対してむしろ冷ややかだったこと。まずSlateに対して「Photoshopしようとしまいと、いわゆるVOGUEのカバーガール的じゃない女性が載って悪く言われるなんて、よくわからないんです。」とコメント。Twitterでもピシャリと。

 

「バカバカしくてどうにかしようって気にもならない。もっと賢くエネルギー使おうよ。2014。」(←この「2014。」って何か良い。私も使いたい。2014。)

私個人的には、別にVOGUEしか雑誌がないわけじゃないんだし、ある素材をどう表現しようが、別メディアがとやかく言ったり、まして作りかけの状態(未修正写真)を暴いたりするのはどうなんだろうなって思いました。でも一方で、1ファンだったら、「レナちゃんがあんな風にされちゃった、ウワーン」って思う気持ちはわかる気がしました。

たとえていうと、

  • レナ・ダナムはオーガニック・カボチャか何かの生産者で、レストランも経営、そこでは「素材の味を活かした料理」をして出している。
  • ローカル新聞を発行するJezebelはそのレストランの常連客
  • VOGUEは超高級フレンチレストランだけど、レナ・カボチャの人気に目を付けて店で使ってみた。素敵なスープか何かに。
  • フレンチ化されたレナ・カボチャを見てJezebelはショック。「レナ・カボチャに余計な味付けしないで!」とローカル新聞に書きまくった
  • 生産者のレナ・ダナムとしては、普通に使われる分にはどう料理されてもいい、むしろ自分にからめてお客さんの悪口を言われる方が迷惑

…みたいな感じかなと。全体的にJezebelからヒステリックな印象を受けてしまったけど、これでアクセスが稼げたり、超リベラルっていうブランディングができたりしてれば彼女ら的にもいいのかも。レナ・ダナムのコメントのキレにも改めて賢いのね~と感心しました。

肉を焼いたあとのソースで

ソースの水溶性部分と油部分が分離しちゃったとき、牛乳をちょっと入れると、つながる。
(多分牛乳の味は多少入るので繊細にやりたいときは使えない。バター入れたソースなら同系統なので、大丈夫と思われる。
ちなみに私はオリーブオイルで肉を焼いて、バターと醤油、砂糖、ケチャップ、たまに赤ワインとかバルサミコという感じ)

【グチ】NYのトイレットペーパーは1ロール80円

だいぶ前のニュースですが、「NYの物価は世界で6位、東京が3位」という調査結果がありました。東京の方がいろいろ高いってことみたいですが、自分の感じとしてはニューヨークの方がお金がかかります。

一番ひどいと思うのは紙類で、トイレットペーパーとかティッシュペーパーが本当に高いです。たとえばティッシュペーパーなら1箱2.99ドル(≒280円)とか(5箱セットとかじゃなく200枚入りとかのやつ1個)がです。日本なら5箱セットが十分買える値段です。

トイレットペーパーは12ロール入りが9.99ドル(≒930円!)とかが普通で、それも1個1個が小さめです。安くても7.99ドル(≒750円…)くらいで、しかも日本みたいに年中安売りしてません。なので平均すると1ロール70~80円くらいで買ってます。日本では安い時は298円とか、せいぜい348円くらいで買っていたので、トイレットペーパーを買うたびに何か悔しくなります。

あとは上のニュースにも書かれてますが家賃も高いです。マンハッタン内だと、70平米くらいの1LDKが4000ドル(≒37万円)とかが普通みたいです。

逆 に安いのは牛肉とかコーヒーとかくらいですかね。。ステーキ肉でも100gに換算すると2ドルとか。ただ肉類は日本みたいに200gとか少量では買いにくいです。スーパーのパック売りは小さくても400gとか500gはあって、少量買うには量り売りのお店に行かなきゃいけず、「えーと半ポンド(200gちょっと)ください」とか言うとお店の人が「まあ、いいけどさー(少なくね?)」という雰囲気になります。コーヒーは1ポンド(だいたい450g)を7~10ドルくらいで買ってるので、100gに換算すると150~200円くらいです。

Take up the mantle=マントを取り上げる?

これはあるテクノロジー企業の歴史についての文章を翻訳しているときに出て来ました。

原文では、その企業の過去の事業失敗について触れたあとで「創業メンバーの後を追う者は無数にいる、taking up the mantle of the brash engineer…」となっていました。

mantleの意味がわからなかったので調べたら、「マント、外套」だったり、それが転じて地球の核を覆う部分(マントル)の意味だったりします。あと「brash」も知りませんでしたが、これは「無謀な」または「精力的な」という意味で、文脈によってネガティブにもポジティブにもなります。この文章の前の部分で創業メンバーの暴走で失敗したことが書かれていたので、「the brash engineer」は「その無謀なエンジニア」となります。

つまり上の「taking up the mantle of the brash engineer」部分を直訳すると、「無謀なエンジニアのマントを取り上げて」という感じになります。「マントを取り上げる」ってことは、覆ってるものを取る=正体を明らかにする(暴露する)みたいな熟語かと思いましたが、前後の文脈に合わないし、通常の辞書にも載っていません。

それでいろいろ検索してみたら、こんなページを見つけました。

Wordreference.comの「Take up the mantle」スレッド

言葉に関するコミュニティサイトで、私と同じように困って質問された方がいました。回答によると、「take up the mantle」とは「誰かが過去にしていたことを、その人と同じようにやる」という意味になるそうです。聖書のエピソードに由来するみたいです。

つまり上の表現では「無謀なエンジニアと同じようにして」となります。前後を踏まえてもうちょっとこなれた表現にするなら「がむしゃらな技術者像を受け継ぎ」という感じでしょうか。

 

あんまり使わない表現なのかな?と思っていたんですが、このあとドラマ「24」の最終シーズンを見ていたら、ある場面で使われていたのでおお! となりました。意味もやっぱり「前任者の後を継ぐ」というような意味でした。(見てない人がいたらネタバレ含むので詳細書きません)

 

Just when you thought it was safe to go back in the water…(もう大丈夫だと思ったのに)

スマートフォンに関する記事を訳しているとき、

「Just when you thought it was safe to go back into the water」

って表現が出て来ました。直訳すると、「水に戻っても安全だと思ったそのとき」。

前後の文脈を言うと、Windows Phone 7(古い話ですね)が公開されたときのアプリ開発者からの反応として、ある開発者が「Silverlight、あぁー、Just when you thought it was safe to go back into the water」っていう流れです。Windows Phone 7アプリ開発にあたってSilverlightがウザいという話になっていたので、何かネガティブな意味だろうと想像できましたが、でもなんで水?

もしかして「go back into the water」が何かの熟語かもと思ったんですが、辞書などでもそれも見つからず。

うーむ と思ってダメ元で「Just when you thought it was safe to go back into the water」全体で検索してみたところ、これはなんとアメリカでの映画「ジョーズ2」の広告で使われたコピーだったことがWikipediaで判明しました! つまり初代「ジョーズ」でもう恐怖は終わりだと思って、「もう海に戻っても大丈夫だと思ったそのとき…」ってことですね。

そこから転じて、海とかサメに関係なく「もう大丈夫だと思ったのに…」というようなときに使われているみたいです。つまり上の記事でいうと、「Silverlight、あぁー、もう大丈夫(がんばらなくていい)と思ってたのに…」ってことです。

 

このブログについて

管理人・みほんちが日々拾ってくる小石(Pebbles)みたいなものを並べていきます。

 

なんでPebblesかって、そもそもブログを書こうと思ったとき、自分が今している翻訳の仕事の中で見つけた「普通の辞書に載ってない表現」みたいなものを載せていきたいなーと思い、そういうものを発見したときの気持ちが、私的には「プールで小石を拾ったときみたいな感じ」だからです。村上春樹さんが、翻訳の作業について「水の中に入っていってそこから何か拾ってくること」みたいに表現していたことがあったような気がするんですが(うろ覚え、妄想注意)、そのマネかもしれません。

 

と、そのへんを書きたいんですが、多分個人的に面白いと思ったニュースとか出来事とか、もっともろもろになると思います。