90年代ファッションってどんなだったっけ、と当時の10〜20代(の私)が振り返ってみる

3年以上ぶりの更新ですが、ここに書いてない間ずっと書きかけてたのが90年代の話でした。この何年か、80年代につづいて「90年代ファッション」が来てるということになっていますが、それって「どの90年代?」という感じがしているのです。
 
私は1975年生まれなので、90年代というと15〜25歳、中学校卒業から高校大学を経て社会人3年目というタイミングです。若かったし、その頃は今と違って日本以外の情報がどんどん入ってくるってことはなかったので、当時の全貌を捉えきれてはないと思うのですが、それでもなんかいろんな面白い要素があったし、あと今「90年代」っていうとなにか私からみると「80年代」的な、ボディコンとかジュリアナスタイルを指すこともあるみたいですが、そうなんだっけ?とかも思っています。
 
あ、別に「今ちまたで言ってる90年代は間違いだらけ!」とか指摘したいんじゃなくて、90年代に限らず、過去ファッションを振り返る意味は、「何かしら使えるアイデアを見つける」ってことだと思うので、なんというか、取りこぼされてそうな要素を自分なりにすくいとりたいのです。
 
そんなわけで、あくまで日本の東京の、中学生〜20代前半の女視点ではありますが、90年代ファッションって何があったかなあと、つらつら思い出してみます。
 
 
・紺ブレ
 
これって日本限定かもしれないんですが、紺ブレがものすごく流行りました。私の身の回りでは高2のとき、だから91年に、一気に来ました。バブル崩壊の時期なんですが、若い学生がみんなで紺ブレ買ってるくらいだから、まだまだバブリーだった気がします。同じ頃に、ポロシャツブームとか、ローファーブームもありました。ローファーの色はこげ茶がお洒落で、ボトムスはチノパンとかチノクロスのスカートとかで、全体的にトラッドでしたね〜。
 
ポロシャツも紺ブレも微妙にヒエラルキーがあって、10代の私の中ではラルフローレンが脳内最高級(持ってない)で、後でポロシャツだけラルフローレンで買ってもらえたけど力みすぎて似合わないし好きでもない明るいグリーンを選んでしまい後悔するみたいな。ポロシャツはブランドにこだわらなければ手頃だし、当時デパートに入ってるような国内ブランドは多分みんな出してて、みんな着てましたね。ポロシャツ2枚重ねしたりね。高校が私服だったんですが、クラスの半分以上ポロシャツみたいな時期があったような。
 
 
・リーバイスの501しか許さないみたいな風潮
 
今じゃいろんなスタイルがあって当然のジーンズですが、↑のトラッド的な流れがあるせいか、なんかジーンズにも「作法」というか「こうあるべき」みたいな思想があった気がします。ジーンズの原点たるリーバイスの501のまっさらなやつを買って、ずーーーーーっと洗わないで毎日履いて味を出すのがえらい、みたいな。501じゃないにしても基本的に形はストレートで、ストレッチなんか入ってちゃダメ、というかその頃ストレッチのジーンズなんかあったのかな? 今じゃ501(とかその手の、股上が深くてストレートなジーンズ)は「Mom Jeans」とか言って、「一周回ってお洒落」みたいなことになってますが。
 
余談ですが、多分2000年代初頭の『だめんず・うぉ~か~』の中に、倉田真由美さんの仮想敵であるシロガネーゼが「ジーンズとかフリースって持ってませんね」って発言してた部分があったんですけど、そのへんも時代を感じます。今じゃハイブランドだってジーンズを出してるし、シルクのトップスとジーンズみたいなきれいめコーディネートも普通ですが、そう考えると90年代ってまだ日本ではジーンズが定番化してなかったというか。
 
逆に今、ジーンズが定番だと思ってるんだけど、ポロシャツが流行ってた頃は「定番だから長く着られる」とか思ってたので、とするとジーンズだって必ずしも10年、20年後みんな今ほど履いてないのかも、とも思います。たとえばチノパンも、90年代には女の子がもっと履いてたと思うんですが(私も2、3本くらい持ってたし)、今あれ履くとしたらわりと気合い入れないともっさりしちゃいそうです。
 
 
・フレカジ
 
当時お洒落な人がよく着てたのに今は(多分)そうでもないもののひとつが、アニエス・ベーのスナップボタンカーディガンだと思います。今思うとこのカーディガンってけっこう難しいっていうか、子供っぽくなりやすいアイテムだと思うんですが、でも個々のアイテムどうこうじゃなくてアニエス・ベーってかっこよかったんですよね。日本のデパートに入ったDCブランドにはない「間」があるというか。「かっこよかった」って過去形で書いちゃいましたけど、今もその「間」は保たれてると思うし、スナップカーディガンはサイズ感を工夫すれば今っぽく着られると思います。
 
で、タイミング的には多分紺ブレの後だったと思うんですが、アニエス・ベー的フレンチっぽいてろてろした小花柄ワンピース x カーディガンみたいなスタイルがわーっと増えてきました。あとはレース付きキャミソール&同素材カーディガン&デニムとか。そうだ、「カットソー」がメジャーになった時期でした。カットソーの素材感もどんどんてろてろになっていって。全体的に、80年代DCブランドとか肩パッド入りスーツへの反省みたいな気分があって、もっとリラックスして等身大の服を…みたいな流れがありました。ブランドでいうと他にもClaudie Pierlotとか(当時は日本にも入ってた)、French Connectionとか、セレクトショップですがベイクルーズ系もかなりフレカジでした。
 
ベイクルーズ系といえば、たしかドゥーズィエムクラスで、レーシーで繊細で可愛くて何万もする「Voyage」ってブランドのカーディガンを扱ってて、すっごく憧れてたけど買えなかったです。そのブランドは2000年代初期になくなっちゃったみたいですが、なくなっちゃったこともあって余計に、90年代な感じがするのかも。
 
 
・ツインニット(とか、コンパクトなトップス)
 
カーディガンといえば、ツインニットブームもすごかったです。ちょうど私がアパレルの販売をしてたころ(数ヶ月だけど)が全盛期で、基本は丸首半袖ニット+丸首カーディガンでしたが、Vネックとかタートルとかハイネックとか、袖丈もノースリーブから五分、七分などなどいろいろで。色もいろいろ、素材も薄手のウールからモヘアやらカシミア、夏ならコットンやら化繊のちょっとツヤ感入ったものなどなど百花繚乱だったんですが、今思うとだいたい共通してたのが、シルエットがすごくタイトだったことです。で、スカーフ巻いたりして。
 
その頃ボトムスではいわゆる「マジックパンツ」、ストレッチ入りのブーツカットのパンツ(私のいたお店ではブラウン系がわりと売れていた)が流行っており、たとえばパステルブルーのツインニット+ブラウンのブーツカットパンツ(すそ長めに残す)+ヒョウ柄スカーフ+7cmくらいヒールのアンクルブーツ みたいな店員さんが多発してました。なんか細長いシルエットが流行ってたんですね。ちびTもそうだし。コートもロング丈が流行ってて、でも今出てるようなビッグシルエットってことじゃなくて、あくまで細長く。
 
ツインニットにも「これ!」ってブランドがあって、それはジョン・スメドレーでした。当時雑誌でツインニットっていうとだいたいジョン・スメドレーが至高、みたいに取り上げられてたんで、私はこれも単純に影響されて憧れてました。その後ブームは去ってしまったけど、個人的にはずっと好きだったんで、銀座の路面店とか時々行ってました。去年私はイギリスに引っ越したのですが、おかげでロンドンのスメドレーのお店とか、銀座のスメドレーに置いてたベーシックカシミアのJohnstons of Elginのお店にも行くことができて、胸熱でした。
 
 
・クリーンな制服スタイル
 
白シャツ×紺のスカートとか、ナースっぽいワンピースとか、いろいろ持ってたし好きでした。シンプルな白シャツは、2000年代にはアン・フォンテーヌかアニエス・ベーでも行かないと売ってないくらい流行らなくなりましたが、今は逆に「定番」化してきましたね、と思ったらアン・フォンテーヌ日本撤退してたんですね!! もう少し持ちこたえてたら、爆買いされてたかもしれないですね。
 
 
・機能推しのメーク(ノーカラーファンデやら落ちないリップやら)
 
多分80年代への反省と女性の役割変化と技術の進化がないまぜになってだと思うんですが、当時はノーカラーファンデーションとか落ちないリップとかが、これも一気に出てきてました。落ちないリップはたいてい本当に落ちないんだけど、質感がカサカサだったりしてイマイチだった印象です。でも今、もし「そこまで落ちないわけじゃないけど、質感もそこそこいい」みたいな口紅があったら私はほしいな。
 
・モード系 ←→ コンサバ系 っていう軸
 
これも日本限定かもしれず、そして日本では今も健在な軸かもしれないんですが、そうだとしても昔はそれがもっと顕著で、モード系とコンサバ系はブランドからして分かれてた気がします。そして「モード系」から見るとコンサバ系は80年代を引きずった種族であり、我々は「そうじゃない」新たなスタイルを確立するのじゃ…と一生懸命だった気がするんですが、そういう、「何かは古い=間違いで、何かは新しい=正しい」みたいな考え方自体がやっぱり昭和というか20世紀的だったのかな、と今は思います。
 
今は2000年代のリバイバルも始まっていると言われてどれくらい時間が経てばヴィンテージたりうるのか?みたいな話にもなってます。個人的には、少なくとも一般人においては、もうあんまり世の中の「トレンド」に照らし合わせて何が「古いからダメ」とか「新しいから良い」とかは考える必要はなくて、その代りひとつひとつのアイテムとかスタイリングについて、自分自身が「よしっ」と思えて精神的にも肉体的にも快適に着られるか、着ていく場に合ってるか、モノとして好きか、そう思う理由はなにか、みたいな他人から見たらどうでもいいけど自分にとっては大事なことを日々感じ取ることをがんばったほうが前向き(自分に何かが蓄積されていく)なんじゃないかなと思います。
 
そんなわけで、ここでご紹介した要素から、何か「よしっ」と思えそうな、琴線に触れるもの、好きそうなものを見つけていただければ幸いでございます。