「等身大」のレナ・ダナムがVOGUEでPhotoshopされててんやわんやした件
久しぶりにまともな記事更新します!
ちょっと前の話ですが、ドラマ『Girls』の作者で主人公も演じているレナ・ダナムが米国VOGUEの2014年最初(2月号)の表紙になったことがちょっと話題になりました。
レナ・ダナムはちょっとぽっちゃり体型でありながら『Girls』ではたびたび(裸が必要なさそうな場面でも)裸になっています。でもその潔さからかいやらしさがなく、ぽっちゃりといってもギリシャの女神像のような美しさもあり(言い過ぎ?)、いわゆる「女優」像に対するアンチテーゼとして、自然な美しさみたいなものを提示したいのかな?と思っていました。『GIRLS』も、ニューヨークのブルックリンを主な舞台にしつつ、「『SEX AND THE CITY』とは違う、等身大の女の子たち」のドラマとされてます。
ちなみに彼女の裸はこれ。(クリックするとモザイクなしの画像が出るので気をつけてください!)
こんな彼女をあのVOGUEが表紙にしたってことは、ちょっと記念すべきことだったはずです。だってVOGUEは基本的に美の王道(よりももっと前衛ってことになってるかもしれないけど)だし。さらに「自然・不自然」の軸でいえばVOGUEはまさに「不自然」側の人たちで、たとえばレディー・ガガの表紙のときにも修正し過ぎってことがちょっと取り沙汰されたりしてました。
で、VOGUEはレナ・ダナムをナチュラルなまま載せたのかっていうと…そこはやっぱりVOGUEっていうか、雑誌だから当然なのか、写真によっては「これ誰?」みたいなことに…。特に表紙は、私は本当に言われるまでわかりませんでした。
これに噛み付いたのがブログサイトのJezebel。ここはちょっと賢い目のゴシップサイトみたいなところなんだけど、いろんなメディアによる女性の写真修正に激しく反対の立場を取っているみたいです。なんで反対かって、そういう「嘘」の女性像によって、現実の女性が「自分もそうならなきゃ」と思い込んでダイエットしたり、自己嫌悪に陥ったりするから…って理屈らしいです。こういうのはアメリカっぽいフェミニズムですね~。
で、Jezebelが何をしたかって、サイト上で「1万ドル(≒100万円)あげるから、VOGUEの修正前の写真データ持ってる人、送って!」って呼びかけたんです。そしてすぐさまVOGUEの中の誰かがそれに応じてしまって、どの写真のどこがどう修正されたか赤裸々になってしまいました(全画像がここに)。
ただJezebelにとって(多分)誤算だったのは、当のレナ・ダナムがJezebelに対してむしろ冷ややかだったこと。まずSlateに対して「Photoshopしようとしまいと、いわゆるVOGUEのカバーガール的じゃない女性が載って悪く言われるなんて、よくわからないんです。」とコメント。Twitterでもピシャリと。
Some shit is just too ridiculous to engage. Let's use our energy wisely, 2014.
— Lena Dunham (@lenadunham) 2014, 1月 17
「バカバカしくてどうにかしようって気にもならない。もっと賢くエネルギー使おうよ。2014。」(←この「2014。」って何か良い。私も使いたい。2014。)
私個人的には、別にVOGUEしか雑誌がないわけじゃないんだし、ある素材をどう表現しようが、別メディアがとやかく言ったり、まして作りかけの状態(未修正写真)を暴いたりするのはどうなんだろうなって思いました。でも一方で、1ファンだったら、「レナちゃんがあんな風にされちゃった、ウワーン」って思う気持ちはわかる気がしました。
たとえていうと、
- レナ・ダナムはオーガニック・カボチャか何かの生産者で、レストランも経営、そこでは「素材の味を活かした料理」をして出している。
- ローカル新聞を発行するJezebelはそのレストランの常連客
- VOGUEは超高級フレンチレストランだけど、レナ・カボチャの人気に目を付けて店で使ってみた。素敵なスープか何かに。
- フレンチ化されたレナ・カボチャを見てJezebelはショック。「レナ・カボチャに余計な味付けしないで!」とローカル新聞に書きまくった
- 生産者のレナ・ダナムとしては、普通に使われる分にはどう料理されてもいい、むしろ自分にからめてお客さんの悪口を言われる方が迷惑
…みたいな感じかなと。全体的にJezebelからヒステリックな印象を受けてしまったけど、これでアクセスが稼げたり、超リベラルっていうブランディングができたりしてれば彼女ら的にもいいのかも。レナ・ダナムのコメントのキレにも改めて賢いのね~と感心しました。